6.内容等
(1)熱帯雨林の保全
熱帯生態系のなかでも湿潤多雨地帯に発達した熱帯雨林は、地球上で最も生物多様性の高い生態系である。地球上の陸地面積の僅か7%にすぎないが、生物種の半数以上が生息し、人類社会の生物資源のソースといえる。いま進行中の生物系破壊をくいとめ、生物系修復に乗り出すのは、現社会の責務である。
(2)SDGFからトリレンマヘの挑戦
SDGFという概念は光合成を基盤にして持続可能なコミュニティをつくることを意味している。21世紀の人類が生存していくには、グローバルであれコミュニティであれ、増える人口を支え、生活水準を維持するだけの経済成長、エネルギー・食料の確保そして環境の保全が必要である。これら3つの鼎立しがたい状態(トリレンマ)を解決するよいモデルをSDGFにもとめたい。
(3)熱帯マングローブ湿地の現状と課題
マングローブ生態系は生産力が高く、そこから得られる林産物や水産物の利用を通して人々と密接なつながりをもってきた。近年マングローブ湿地は一次産業の乱獲や種々の開発により危機的な状況にある。各国のマングローブ湿地の現状と今後の課題について報告。
(4)マングローブ林の村落に見る持続可能な社会
べトナム南部メコン川流域に広がるデルタにはかつてマングローブ林が分布していたが、ベトナム戦争中にその4割が失われ、戦後さらに開発により打撃を受けた。ベトナム政府はドイモイ政策により小規模農林漁業複合経営を基盤とするマングローブ林の保全と、地域住民の生活向上をめざした。メコンデルタのCan GioとMinh Haiの事例をとりあげた事例報告を行った。
(5)タイにおけるSDGFへの挑戦
92年に採択されたアジェンダ21行動計画においては、地球環境保全では日本の能力を活用し、国際的に進めることが宣言されている。これをうけた国際協力のモデルとして、マングローブ植林を進めている。本報告はその実践報告である。植林活動を地域住民とともに実践し、生物生産の基礎を再構築するとともに、沿岸地形の保全や気象環境の改善を図る。これは、市民レベルにおける日本の国際的な貢献の方向を示している。
(6)SDGFに目覚めた企業人の目指す方向
マングローブとの出会い:企業人として地球人として、建設業と自然生態系の保全、環境保全型社会と環境NGOへの期待、21世紀の企業と企業人についての説明のほか、ボランティア活動から得られるものとして、「感動」、「情報」、「友人」について説明。
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